東京信用保証協会
2023 新卒採用情報

Special
STORY02 保証支援ストーリー
  • 株式会社シンシ
    代表取締役社長

    加納識顕

  • ×
  • 東京信用保証協会
    大田支店保証課

    渡辺かおり

優れた技術力と、
事業継続に向けた不断の努力を支えたい。
日本経済を支えるのは、
99%を占める中小企業なのだから。

約70年にわたり、高い技術力を武器に経営を続けてきたプラスチック板加工総合メーカー『株式会社シンシ』(東京・大田区)。
成形のみならず、切削や切断、接着といった総合的な技術は、さまざまな分野に活用されています。
当協会にご相談をいただいた加納社長と担当した渡辺が、当時のことを振り返りながら、協会の存在意義について話し合いました。

加納
過去に数度、運転資金の借入に際して保証協会のお世話になったことがあり、保証協会を利用すると金利が低く抑えられることを知っていたもので、ちょっと相談させていただこうかと。ただ、支店の皆さんはかなりお忙しかったでしょう?
渡辺
はい。政府が決定した新型コロナウイルス感染症対応対策として、無利子・無保証料で融資を受けることができる制度が新設されたことによって、多くの申込みをいただくことになりました。その制度のほかにも、大田区が独自に導入している制度もありましたので、これらを最大限ご活用したいというお客さまから、かなり多くの相談、申込みがありました。半年間で昨年1年間の4倍以上の保証承諾件数となりました。
加納
それは大変でしたね。そうした渡辺さんたちのご尽力により、当社も今回、無事に金融機関から融資を受けることができました。企業の経営環境の厳しさはこれからもしばらく続くでしょうね。
渡辺
おっしゃるとおりだと思います。当協会に寄せられるニーズも、加納社長のように万が一の備えという資金ばかりではなくて、売上減少の補填のための資金、新しい生活様式に対応する環境整備のための資金、あとは新型コロナを大きなビジネスチャンスとした新たな資金といった、様々なニーズがありました。
加納
ビジネスチャンスという点に関しては、当社も飛沫防止パーテーションの仕事が大量に発生しました。ピーク時には材料メーカーの在庫がなくなってしまい、当社も入荷待ちという事態が起こりました。リーマン・ショックのときもそうでしたけど、その多くが受注産業である中小企業は、予期せぬ社会の変化に即応できるか否かが、企業としての生き残りに大きく影響します。とはいえ、投入できる資本にも限りがありますので、そこを保証協会の支援を得て、低金利で金融機関から融資を受けられるというのは、中小企業にとって経営戦略の観点からも重要だと考えています。
加納
そうなんです。当社の製品のなかでもシンボリックなものですが、厚さ50mmくらいの透明なアクリル板を、「重合接着」という特殊な技術を使って貼り合わせないと、あれほど巨大な面積や厚みを生み出せないのですが、その技術を持っているのは当社を含めて国内で2社だけなんです。ちなみに、製品としてはほかにも空間ディスプレイや看板、建材、乗り物など、いろいろなところで当社が加工したプラスチック板が使われています。コロナ禍を受けてあらためて実感したのは、商材が偏っていなかったことが幸いしたなということでした。
渡辺
保証審査の中で、担当として感じた御社の強みがほかにもあるのですが、申し上げてもよろしいでしょうか?
加納
ぜひともお聞きかせください。
渡辺
先ほど加納社長がご指摘になられた「多様な商材を取り扱っている」ことに加えて、あと3点あると私は考えています。1点目は、経営理念がしっかりされていて、社員の方にも共有されていること。2点目は、社員の育成に注力されていること。3点目は、取引先や同業者と良好な関係性を構築し、縦のつながり、横のつながりが強固であること。この3点です。
加納
どれも経営者として心を砕いてきたことだけに、そこをきちんと評価いただき、うれしく思います。
渡辺
数字に表れない隠れた信用力を発掘し、企業の強みを見い出すことが私たちの仕事ですし、業務を通じて経営者の方々のお考えに触れられることは、私たちの仕事のやりがいであると同時に、社会人としての大切な教えとなっています。加納社長のお話にあった「社員が誇りに思える会社にしたい。仕事に誇りを持った瞬間から、社員の成長、ひいては企業の成長がはじまる」という言葉が印象に残っています。コロナ禍で申込が急増する中、私は日々の業務に追われるあまり、仕事をこなすことだけに必死になっていました。でも、この言葉のおかげで仕事に対する誇りを取り戻すことができ、今は増えた業務量の分だけ、企業や社会のお役に立てるのだという喜び、張り合いをあらためて実感し、毎日が充実しています。
渡辺
つまり、ワーク・ライフ・バランスの充実が、社員の皆さんの意識改革につながると?
加納
そのとおりです。プライベートの充実は、知見を広め、見識を深め、ひとりの人間としての成長を促すはずです。それは結局、職業人としての成長を促し、いざというときにも力が発揮できる社員となって、困難にも負けない強い組織へと導いてくれると私は考えています。そうした会社はきっと、社員が誇りを持てる会社であるはずだし、その事実がよりよい仕事を生み出す原動力になると。少なくとも私は社員にそうした好循環を生み出してくれることを期待していますし、ワーク・ライフ・バランスの追求は、当社にとっては守りではなく攻めなのです。このような環境を実現することで、つねにモチベーションを高くもって、誠実に前向きに努力できる企業でありたいと思いますし、その先に技術の向上があると考えています。
渡辺
日本の会社の99%は中小企業であることからも、日本経済を支えているのは間違いなく中小企業です。今回、加納社長とあらためてお話させていただき、御社が優れた技術力を持ちつつも、不断の努力を重ねられていることをあらためて知ることができました。そして、そうした活動を支えるとともに、たとえば「後継者問題」や「海外展開」といった中小企業特有の経営課題についても、サポートしていく自分たちの職務というのは、社会的意義のあるものだということを再認識することができました。
加納
そうです。新型コロナウイルスの感染拡大という不測の事態を受け、金融機関を通じて、申込みさせていただいたように、中小企業の経営者にとって保証協会というのは力強いサポーターであり、セーフティーネットです。これからも自分たちの存在、提供するサービスについて、渡辺さんはじめ職員の皆さんには、どんどん情報を発信していただきたいと思っています。
渡辺
これからも、中小企業にとって最後の砦としての役割をきちんと果たしていきたいと思います。同時に、加納社長をはじめとする多くの中小企業の経営者の方々が、時代の移り変わりに対応し、積極果敢に行動されていることをお手本に、私も自らに限界を設けるのではなく、つねに柔軟に、そのときの自分にできる最大のことを行うことで日々の業務の改善に努め、自身の成長へとつなげていきたいと思います。